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ハコ物館展
ブツ カン
Exhibition “A Tiny Museum in a Tiny Box” Vol.1
ちいさなハコに大きなワクワクを
2023.9.27 wed - 10.1 sun.
12:00 - 19:00/日曜18時まで
野山で拾ったコケや種、海で見つけた漂着物、
はたまた暮らしの中でゴミとして捨てられるモノたちを、
ちいさな箱にタカラモノのように収蔵。
そんなちいさな博物館を「ハコ物館」と名付けて制作しています。
EVENT
■ 子どもたちによるハコ物館展も同時開催 !
夏に開催したワークショップで生まれた作品も展示します。
■ ハコLIVE !
なんてことない小さなガラクタ(ボタンや錠剤…)を持参いただければ、
その場で小さなハコ物館にします! ※有料
■ ハコ・コレクション
昭和の懐かしいハコや外国の古いハコなども展示します。
ハコ物館作家 コケ丸
1978年生まれ。ハコ物館・館長を名乗りつつ、普段はフリーランスのエディトリアルデザイナーとして、ブックデザインを始め紙媒体を中心に活動。コケ、地衣類の観察と昭和のサウナが好き。
ZINE:苔の楽しみかたと遊びかた「おいしいコケロニー」、半立体グラフィックで伝える梅毒のドキュメンタリー展の図録「THE BOOK of 極私的梅毒展」(SUTのオンラインショップで購入できます)
まちなかで見つけたアスファルトのスキマに生えるコケと、それを再現したコケロニーの箱
ハコ物館とは
● ハコ物館のはじまり ●
昔から古い紙や包装紙にはじまり、ガムの包み紙や靴を買った時にくるんであるあの薄い紙(converseとか)、植物の種子、コケや地衣類などを集める癖がありました。そこにはこころ動かされたささやかな感動があったからです。ファイリングしたり、ジップロックで保管しつつ、誰に見せるでもなく、まさに「我楽多」が増えて行きました。
2021年春。実は割と最近です。
学生時代の恩師に「ビーチコーミング」に誘われます。コーミングとは櫛のコームのこと。ビーチを梳(くしけず)るように歩いて漂着物を拾う遊びがあり、世界中に愛好家がいます。もちろんビーチコーミングの沼に落ちてゆき、漂着物も溜まっていきました。
ある日、その恩師と話してると、机の上にそっとキャラメルの箱を差し出されました。スライドさせた中から出てきたのは、ビーチコーミングで拾った「黄色いモノ」たち。それだけでしたが、それはただただ美しく箱の中にありました。
● 南方熊楠と変形菌の標本箱 ●
和歌山に生まれた変形菌(粘菌)の研究者、南方熊楠(1867〜1941年)。「知の巨人」と呼ばれる人です。彼が変型菌の標本110点をキャラメルの箱11個に入れて、昭和天皇に献上したというエピソードもあります。
こうしたヒントをもらいつつ、今まで拾ってきたモノを様々な箱に入れて小さな「ハコ物館」を作り始めました。「ガラクタ」の見せ方と伝え方を手に入れたのです。集めていた古い紙や様々な質感の紙も、ハコに貼ることで第二の居場所を得ることができました。
ロウ引きした紙袋やお菓子の包装紙など。溶かしたロウを染み込ませると、紙は半透明になり向こうが透ける。
● 拾ったモノから視点を変えて ●
拾ったモノをハコに入れることの他に、次第に暮らしの中にもハコ物館に収蔵すべきモノを発見していくようになりました。例えば、輸入フルーツに貼ってあるシール(PLUコード)。数字にそれぞれ意味があるのはもちろん、よく見ると原産国やフルーツによって様々な種類があり、貼られるフルーツの表皮の色と合わさって初めて完成となる特殊なシールです。
シール帳。ヨード卵光のあのシール、Amazon配送時に貼られているシールなど、あらゆるシールをストックしている。
「貼られる」ことでその機能を全うしたシールたちを、UVレジンでコーティングしてバッジにしてハコに収蔵。
あるいは、日々世話になることが多くなってきた薬の錠剤たち。ひとつひとつに製品名がレーザー刻印されています。この技術はすごい!そして、意味をもたない(もたせない)薬のネーミングも可愛らしかったりして、これは収蔵しておきたい!など、普段何気なく目にしてるあらゆるものを、ハコ物館の収蔵品という目線で見るようになっていきました。
PLUコードのバッジ
輸入フルーツのシールと錆びさせた金具と
● ハコ物館のもうひとつの任務「修繕」 ●
フタがなくなっていた時計修理用オイルの古い瓶の箱の修繕前と修繕後。
「瓶や缶マニアは割と多いよ」と、古道具屋さんなどに行くと言われます。瓶が入ってる箱よりも、中の瓶のほうが需要が高く、さらにその瓶の中にオイルや薬品などが残ったままになってるか。それがマニアには重要とのこと。
箱の素材は紙なので、時代を超えて残りにくいということもあるようです。
ボロボロになった箱は、実際の文化財の絵画の修復でも使われる、土佐の典具帖(てんぐじょう)和紙で仕立て直したりもしています。「かげろうの羽根」と形容される薄さとしなやかさが特徴です。
また、色をプリントしたクラフト紙をロウ引き加工して、ビンテージ感を出して素材として使うと、足りない紙片があっても何の違和感もなく修繕できます。
チェコスロバキア(当時)の鉛筆の箱。割れてた箱は現地のマッチラベルなどで継ぎ接ぎして修繕している。
● まだ見ぬ未来の少年へ ●
これらのハコ物館を何のためにつくっているかと言えば、まだ見ぬ未来の少年のためです。これがハコ物館のミッション。
どんな時代になっているかもわからない、遠い遠い先の未来の少年が、
これらのハコ物館を瓦礫の中から、
あるいはかび臭い納屋の中から見つけるのです。
ボロボロの古い小さな箱が、大きな箱にたくさん入っている。
そのひとつを手に取り、興奮と不安の中でそっと箱を……。
標本ラベルに書かれた情報から、時代や場所を同定していく少年。
昭和という時代をなんとなく知っていくのです。
「僕もやってみようかな」そう思ってくれたらいい。
少年よ、未来に箱はありますか?
箱に入れて、誰かに伝えたい大切なもの、
残したいと思うものはありますか?
つくったハコ物館は、お菓子の缶に入れて大切に保管している。
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